お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
本日無事に、偽りの妻になりました
その後、拓海と今後のことを話し合った結果、とりあえずお互いの家族に会って、結婚の許可をもらおうことになった。
まず最初に、私の家族のもとへ。
自分にはその才能はないからと囲碁の道には進まず、区役所の職員となった父と地元のスーパーでレジ打ちのパートとして働いている母には、「夏美が結婚? しかも、相手は弁護士!?」と大きな驚きを持って迎えられた。
拓海のことは、見ているこっちが恥ずかしくなるほどの歓待ぶり。のしでもつけて押し付けられそうな勢いで、両親は結婚を快諾してくれた。
次に私と拓海は、おじさまのもとへと向かった。ふたり揃って社長室まで赴いて、結婚の報告をした。
長年手こずってきた私が、とうとう結婚を決めたことを、榊のおじさまは手放しで喜んでくれた。
「嬉しいなぁ。祖父江くんになら安心して夏美ちゃんのことを託すことができるよ」
「ありがとうございます」
拓海の言葉に目に涙を浮かべて喜ぶおじさまを見ていると、ちょっぴり罪悪感で胸が痛む。でも、これ以上自分の意に反してお見合いをさせられるのは、私だって限界だったのだ。