お見合い夫婦のかりそめ婚姻遊戯~敏腕弁護士は愛しい妻を離さない~
二度目の再会は必然に
「夏美ちゃん、納品作業終わった?」
「はーい。オールOKです」
デスクから声をかけてきた先輩の乾さんに向かって大きな声で返事をして、物品倉庫に鍵をかけた。
「あー、腰痛い」
今日の納品分には、コピー用紙が大量にあった。それを発注表とつき合わせつつ、用紙サイズごとに決められた棚に仕舞う。単純作業ではあるけれど、かなりの重労働だ。
「夏美ちゃんありがとうね。助かったわ」
「いえいえ、これくらいどうってことないです」
労いの言葉をかけてくれた乾さんに、私はぺこりと頭を下げた。
私が勤める榊物産株式会社は、食品専門の商社だ。社員数は約700人。東京は日本橋に本社を置き、全国主要4都市に支社がある。グループ会社も数社抱えていて、規模でいえば中堅クラス。
終戦後、コーヒーや紅茶といった嗜好品の輸入販売を軸に発展し、今では食品や酒類などの輸入販売、業務用の冷食や加工品の製造販売、最近では日本の豊かな食文化の発信を目標に、輸出事業も手がけている。