彼は私の絵師なので!〜好きだから、渡さない〜
大学で昼食を食べている時、紗英がため息をつきながら言う。しかし、樹里は「だって……」としか言えなかった。
「人を好きになったの、初めてだから。どうしたらいいかわかんなくて……」
零は何度も樹里に話しかけようとしてくれている。しかし、そのたびに樹里が零に背を向けるか、心愛が零に抱きついて邪魔をするかのどちらかなのだ。
「ほら、これ聴いて!!」
紗英にイヤホンを手渡され、樹里は恐る恐るそれを耳に差し込む。流れてきたのは感情泥棒だった。
嫌われることを恐れるより
信じた愛を伝えたい
「きちんと自分の想いと向き合いな!逃げてばっかじゃ恋は叶わないし、心愛に零は取られちゃう。……それでもあんたは笑っていられる?」
「……ッ!そ、そんなのダメ!!」
零が誰かのものになるなど、樹里にとって耐えられないことだ。零は樹里の絵師であり、好きな人なのだから……。
「零、心愛に連れられてカフェテラスにいると思うよ。ちゃんと言ってきな」
「人を好きになったの、初めてだから。どうしたらいいかわかんなくて……」
零は何度も樹里に話しかけようとしてくれている。しかし、そのたびに樹里が零に背を向けるか、心愛が零に抱きついて邪魔をするかのどちらかなのだ。
「ほら、これ聴いて!!」
紗英にイヤホンを手渡され、樹里は恐る恐るそれを耳に差し込む。流れてきたのは感情泥棒だった。
嫌われることを恐れるより
信じた愛を伝えたい
「きちんと自分の想いと向き合いな!逃げてばっかじゃ恋は叶わないし、心愛に零は取られちゃう。……それでもあんたは笑っていられる?」
「……ッ!そ、そんなのダメ!!」
零が誰かのものになるなど、樹里にとって耐えられないことだ。零は樹里の絵師であり、好きな人なのだから……。
「零、心愛に連れられてカフェテラスにいると思うよ。ちゃんと言ってきな」