俺の彼女は魔法使い
次の瞬間、なぜか突然膝がカクンとなって、俺は少し体勢が崩れた

そう俺は、いわゆる『膝カックン』をされたのだ


「引っかかるなよ、ばぁーか」


そう言う声の方を驚いて振り返ると、そこにいたのは彼女だった

驚いて何も言えない俺に、彼女は言葉を続ける


「手、出して」


突然そう言う彼女に、俺は「え?あ、はい…」と手を彼女の方に差し出した

その手に彼女が乗せたのは、1組の手袋

俺の手袋だ

あの日、その指の冷たさが気になった俺が、観覧車に乗りに行く前に彼女に貸したのだ


「人に物借りたまま、年越したくないのよ……」


そう言って、彼女はコートに手を突っこんで後ろを向いた


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