俺の彼女は魔法使い
「楠木先生」


体勢を変えないままで、彼女の耳元でそう囁いてみる

それに対して彼女はビクッと体を強張らせると「な、何言ってんの!」と小さく言う

何だか彼女は苛めがいがあり過ぎて困ってしまう

こんなに良い反応を見せられたら、やめられないじゃないか


「楠木先生、ドキドキしていますか?」

「なっ!べ、別に!!」

「顔熱いですよ」


声にならないような唸りを彼女はあげている

もうそろそろやめておかないと止まらないな、俺

そう反省して彼女を腕から解放すると、ゆっくりと彼女は俺から離れた

甘い香りに少しフラッときつつも、そこはとりあえず理性で抑えておく

彼女の少し涙目の顔を見ると、これ以上やっちゃうと、マジで嫌われそうだからだ

こいつはほんと、手ごわいかも……

そう心で思いながら、俺たちは学校を出た

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