俺の彼女は魔法使い
大学内の横断歩道を渡りながら、尚も慶太と佳奈の漫才のような会話が続いていた

それを笑いながら聞きつつ、4人で歩いていると、突然彼女が足を止めた

不思議に思いながら俺が彼女の方を振り返ると、彼女は今来た道を振り返っていた


「楠木?」


そう俺が彼女を呼び掛けるが、彼女の耳には届いていないようだ


「……つ…に……い?」


彼女が何かを呟いた気がして「え?」と聞き返す


「辰にい?」


彼女が口にした言葉の意味を考えているうちに、彼女の目線を追う

そこには同じように彼女を見つめる1人の男の姿があった


「陽菜?」

「辰にい!?」


そう言うと、その男は彼女に駆け寄り、彼女を抱きしめた


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