俺の彼女は魔法使い
辰哉は陽菜を『ヒヨコ』と呼ぶ

『ひな』だから『ヒヨコ』

それが陽菜にはとても悔しかった

今年で大学4年生になる辰哉は、陽菜がどう頑張ったって、大人だった

背は陽菜よりずっと高い

陽菜の周りにいる男子なんて、たいていがまだ陽菜より小さいか同じくらい

頭を撫でる辰哉の手は、陽菜の顔を包み込んでしまいそうなくらい大きい

ふわりと香るのは、大人の香り


「ダメ~ヒヨコはヒヨコじゃん」


それでも、ニカッと笑う顔は昔から変わらない

その顔に再びドキッとしながら、陽菜は辰哉の隣を歩いた

辰哉は大学へ、陽菜は中学へと行くために表の道路を歩いて行く


「でさぁ~ちーちゃんがみっちゃんの悪口言い出すから私驚いて……」


陽菜の話す内容は、女の世界ではよくある「友達ごっこ」の世界

こんな時からそんな世界があるのかよと、辰哉は少し怖くなりながら陽菜の話に軽く相づちをうった


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