俺の彼女は魔法使い
去年までランドセルなんて背負っていたのに、あっという間に女の子は『女』になっていく

それを実感していると、陽菜が「辰にい?」と俺の顔を覗き込んでいた


「え?あぁ……聞いてる聞いてる」


本当は途中から聞いていなかったのだが、そんな事を言ったら陽菜がすねるので、慌ててそう言うが、きっとばれているだろう


「辰にい、何か最近上の空?ってもうバス停!!」


表通りを行くと、何分か歩いたところにバス停がある

家からそこまでが、辰哉と陽菜の共通の通学路だ


「それじゃあバイバイだね……辰にい、また明日ね!!」

「あ、ちょっ……」


片手を軽く上げ陽菜を見送ろうとするが、辰哉は思いとどまって言わなければいけない事を言おうとした


「ん?何?辰にい??」


純真な笑顔でそう振り返られると、今日も結局言えなくなってしまう


「あ、やっ……気をつけて行けよ!!」

「子供じゃないもーん!!大丈夫だもん!!んじゃ、行ってきまーす♪」


「十分子供だよ」そう心の中で呟いて、辰哉は陽菜の背を見送った


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