俺の彼女は魔法使い
とりあえず、陽菜が自分の言葉に返事をしてくれた事に安堵する

コトン

部屋のドアに頭をもたれかけて、小さく音が鳴った


「……ど…して………くれ……の?」

「え?」


小さく呟く陽菜の声は、涙声混じりで聞き取りにくい


「……どうして言ってくれなかったの?」


絞り出したように陽菜はそう言うと、嗚咽を漏らしている声が辰哉の耳に届いた


「私は……私は辰にいの妹みたいに、家族みたいなものだって思ってたのに………私はそんな事さえ教えてもらえないんだね………」


陽菜の部屋には、鍵なんてついていない

勢いよくドアを開けると、彼女はベッドの隅っこで膝を抱えて泣いていた

そんな陽菜に駆け寄って、辰哉は陽菜を強く抱きしめた


「妹なんて思ってない!!」

「っ……!!」


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