俺の彼女は魔法使い
何度かコール音がしてから、受話器の向こうから彼女の声が聞こえてきた


『はい、楠木です』


ケータイにかけてるんだから分かるって、と思いながら俺も「あ、俺」と答える


『俺、俺サギですかぁ~??』


笑いながら彼女はそう言うと『どうしたの?』と続けた


「まだ用事終わってねぇの?」


別れてから1時間くらい経っているし、もう良いだろうと思った俺は彼女に電話をかけたのだ


『ん?今から出ようかなって思ってたとこだよ』

「今どこ?」

『今?えーと、教授棟って言うの?社学の横の建物の3階』

「そんじゃ、下で待ってる」


そう俺が申し出すると、彼女は『え、あ、…うん』と答えた


『陽菜~わりぃ、帰りにこれだけ本棚に直して!――あ、はい!』

< 255 / 284 >

この作品をシェア

pagetop