俺の彼女は魔法使い
むしろ自分自身が怖かった

このまま、彼女に何してしまうか分からない自分に、恐怖を感じる

これが嫉妬というものなのだろうか?




「………帰ろう?岩崎くん」


そう言って、彼女は俺の手を取って歩きだした

帰り道、何も言葉を交わさずに彼女と手を繋ぎながら歩き続けた

いつもは短いマンションまでの道のりが、今日は遠く感じる

いつもなら、駅までの道のりさえがもっと短く感じてしまうのに


「今日はここで良いや」


そう言って彼女は俺の下宿するマンションの前までやってくると、手を離した


「大丈夫だから、ゆっくり休んで。おやすみなさい」


俺をしっかり見つめて彼女はそう言うと、足早に駅へと向かっていく


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