好きなんだから仕方ない。
得体の知れない所へ連れていかれたくないと強く願ってしまっているんだ。神の後継者になんて本調子であっても勝てる相手じゃない。なのに、無謀なのに立ち向かおうとしているのはきっと本気で願えば奇跡が味方してくれると心のどこかで思っているからなのかもな。

「・・・あの子はこの未来を望んだと思うか?」

「望まなかったから、こちら側に付く事もそちら側に付く事もしたくないと思いながらしなければいけないと悩んでおられたと」

「教えてはくれぬのだな?」

「主を売るような真似、出来ない事くらい迎えに来たお前たちなら知ってんだろ」

後継者の一人が俺とクロエラに剣先を向けてきた。何でだろうな。身勝手だって分かってはいるんだ。なのに、彼女を守って死ねる事に達成感を抱いてしまっている俺がいるんだ。
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