好きなんだから仕方ない。
神の住み処に着くと自室より先に向かったのはウデルク様の部屋だった。トワには悪い印象しかないから無理に来なくても大丈夫だと言われていたけれど、俺たち三人の中で先にエミィ様の自室へ帰った者はいなかった。

「あれー、エミィじゃーん。どうしたのー?」

「ここの池の事なんだけど、水に触れただけで吸い込まれているらしいの。確認できているので数人の魂が犠牲になってる」

「ここって確か・・・。・・・怪しいね。調べてみるよ」

「ありがとう」

話を聞くまでは陽気だったウデルク様も表情が恐ろしいほど真剣になった。でも、エミィ様は礼を言っただけですぐに自室へと帰られた。
帰路に着いた時のエミィ様の表情と言い、先ほどのウデルク様の表情と言い。俺が想像出来ていないような事態が起こっているのは確かなはずなのに、どうしてエミィ様はそんなに余裕を持てているんだ。
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