皇太子は神の子に首ったけ〜異世界に転移してしまいました!?〜
ただ一つ、部屋に残っている女性が出ていった女の子にかけた言葉の中に、聞いたことのある単語が含まれていたのだ。
だからもし、もしも出ていった女の子が人を連れてきて、その人が私の思う人ならば…。
──ビンゴ!
戻ってきた彼女は、白衣を着た医者──私の“担当医”だと思われる人を連れてきたのだ。
おそらく、この国の言葉はフランス語と近しいのだろう。
私の高校には2年に一度、夏に留学生を迎え入れる。
今年はフランスから来ていて、たまたま私のクラスに入ることになったのだ。
女の子だったこともあり、仲良くなるために友達と一緒に勉強したのだ。
主に単語を勉強していて、担当医という言葉も覚えたのだった。
お医者さんが色々と検査をしてくれている中、私は三人の会話に耳を傾けていた。
うん、全く分からないというね。
すると、急にお医者さんは私に話しかけてきた。
聞こえてきた単語から、名前を聞かれているのだと言うことを察した。
「ナナ・シンキ」
すると医者である彼は、マルシャル・ド・リプカと名乗った。
おそらく…。
それに続くように、背の高い女性の方がモルガネ・ドロワールと、見習いっぽい方の女の子がイレーヌ・オブ・シャヴァネルと名乗った。