皇太子は神の子に首ったけ〜異世界に転移してしまいました!?〜
「…ナナ・シンキです。言葉、分からない。」
随分とたどたどしい話し方だっただろう。
さっきもしたように、私は単語を並べて自己紹介をした。
もし、これで通じるのであれば、頑張れば話せるようになるのかもしれない。
今の状況がわからない以上、言語の理解は今後を大きく左右する。
これが通じなければ死活問題だ。
お願い、分かって…!
そんな希望をいだきながら、吸い込まれそうな瞳を見つめた。
すると、口を開いた男性は話し始めた。
今度はゆっくりと。
「私はダニエル・アルベルト・ドゥヴォスだ。」
名前を教えてくれた。
それを先程用意してもらった紙を慌てて出し、書き込んでいく。
それを先程までの彼女たちのように首を傾げつつ、彼は言葉を続けた。
「お前を養女として迎え入れる。つまり、私はお前の父となるのだ。これからはお父様と呼びなさい。」
んー、最初の方がよくわからなかったな…。
聞き取れた単語を頭の中で繋げて、文を作ろうと努力する。
私…あなた…父…。
…父??
え、も、もしかして!?
「あなた、私の、父!?」
「そうだ。」
肯定と思われる言葉に、ひどく驚いた。
そんな私の様子を気にもとめず、何かをまた続ける。