皇太子は神の子に首ったけ〜異世界に転移してしまいました!?〜
そこには、私の持ち物が入っていた。

教科書は水で濡れてシワシワに。

筆箱には使い慣れたシャーペン。

ここでは筆を使って文字を書くみたいだから、その握った久しぶりの感覚に嬉しくなり、思わず笑みがこぼれた。

制服とスマホも入っていて、電源を入れようとしたけどつくことはなかった。


その後も色々と取り出して、最後に手に取ったのは生徒手帳だった。

ぱらぱらめくっていると、2枚の写真が落ちた。


1枚目は、家族4人で撮ったもの。

たしか、ママの誕生日の写真かなぁ。


そして、もう1枚は──くろとの写真。


涙が溢れた。

モルガネさんとイレーヌさんは急に泣き出した私を見て最初は慌てていたが、そばにいて私が泣き止むまで背中をさすってくれて、手を握ってくれていた。

その手はとても暖かかった。
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