皇太子は神の子に首ったけ〜異世界に転移してしまいました！？〜
「ちょっとあなた！私の家で何しているのよ！？」



振り返った先にいたのは、赤茶色のふわふわした髪に、少し青みがかった緑色の瞳の少女。

“私の家”といったことからも、この家の──ダニエルの実の娘だろうと言うことは簡単に想像ができた。


彼女はドスドスという効果音が合いそうな歩き方で、しゃがんで花を見ていた私を見下ろす形で立ち止まった。



「てか、モルガネもイレーヌも最近姿を見てないと思ったら、こんな奴を家に招き入れて何やってるの！？」



…うん。

何を言っているのかはよくわからなかったけれど、モルガネとイレーヌが悪く言われ、そして私のことが気に入らないのだろうと言うことがよく伝わった。


名乗らないのも失礼に値するかと思い、ゆっくりと立ち上がる。

急に立てば貧血を起こすことが目に見えてるからね。


日傘をさしてもらっていて、さらには逆光であったためか、彼女は私の顔がしっかりとは見えていなかったようだ。


その証拠に、彼女は私が立ったことによりはっきりと見えた顔と髪に、短い悲鳴を上げた。
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