皇太子は神の子に首ったけ〜異世界に転移してしまいました!?〜
私が顔をあげて向き合うと、その少女はハッとしたような顔をして、何かを言い始めた。
「お義父様の養女ですって!?あなた、歳はいくつなのよ!」
速すぎ。
聞き取ることができなかった。
そこで、隣で日傘をさしてくれているイレーヌに目で分からない、と訴える。
するとそれが通じたのか、“年齢”と一言、私にだけわかるように教えてくれた。
「17」
年齢を言うときの言い回しを忘れてしまったので、数だけを言って伝えた。
──パァンッ!
鋭い音と体への衝撃。
自分が叩かれ、その強さに耐えきれずに吹き飛んだ、ということを理解するのに時間を要した。
「おやめください、お嬢様っ!!」
「ナナお嬢様!大丈夫ですかっ!?」
ジュリアン専属のメイドさんは慌てて止に入る。
モルガネとイレーヌは駆け寄って声をかけてくれる。
「だ、大丈夫…。」
…本当は全然大丈夫じゃなかった。
視界が揺らいだまま治らない。
2人に手伝ってもらってなんとか立つ。
「ナナお嬢様は異国の方なのです!言葉もまだ満足に話すことができないのです!」
「なんでそんな奴が姉なのよ!?しかも、そんなに黒い瞳と髪、呪われているんだわっ!」
「お嬢様!そのようなことを言っては──。」
「──うるさいっ!」
彼女はメイドの一人を突き飛ばした。
よろけた拍子に彼女は私にぶつかった。
視界が揺らいで、バランスをとることができなかった私はそのまま意識を手放した。