皇太子は神の子に首ったけ〜異世界に転移してしまいました!?〜

目が覚めると、今ではもう見慣れてしまった天井が広がっていた。

体を起こすと、それに気がついたモルガネとイレーヌが駆け寄ってきてくれる。



「お嬢様っ!」

「ご気分はいかがですか!?痛いところは…。」



イレーヌにいたっては泣いていた。


ふと、弟の京汰が小さい頃によく泣いていたということを思い出した。

今の彼女の姿と重なって見えた。



「大丈夫だから。ね?」



そう言葉をかけつつ、あの時と同じようにそっと頭をなでながら微笑んだ。

最初こそ驚いた表情を浮かべていたイレーヌだったが、微笑み返してくれた。


しばらくするといつものお医者様が来てくださり、診察のあとに貧血だろうということでお薬を処方していただいた。


その夜、お義父様が私の部屋を訪れた。

そして、彼女は私の義妹となるジュリアンで、実の娘だと言うことを教えてもらった。

そして一言、“仲良くするように”という言葉を残して去っていった。

謝罪もなしかよ…と正直思ったよね。


モルガネたちに分かりやすい単語と図を使って教えてもらった状況では、私はかなり理不尽な理由でビンタされたようだ。

私はぶっ倒れて意識を失ったというのに…。

随分とお義父様は親ばからしかった。


私はベッドのそばにおいてある2枚の写真に手を伸ばし、眺めた。



「帰りたい…。」



久しぶりに声に出した日本語は、寂しく落ちていった。
< 24 / 45 >

この作品をシェア

pagetop