皇太子は神の子に首ったけ〜異世界に転移してしまいました!?〜

試しに、と言って見せられた肖像画の名前やその家の功績などを、しっかり完璧に言えたときは、さすがにお義父様も驚いていた。



「ナナ…お前はすべての出席者の名前と顔、功績を覚えたのか…?」

「はい、お義父様。覚えておくのは常識かと…。しかし、まだ今回の夜会の出席者しか覚えておりませんので、今後もっと精進いたします?」

「あ、あぁ…。」



一礼してから部屋を出ようとする。

すると呼び止められた。



「そうだ、ナナ。夜会用のドレスを買ってあげよう。国王主催の夜会だからな。そんなみすぼらしい格好では我が家の恥だ。明日その者をよこすから、好きなものを買いなさい。装飾品もだ。」



みすぼらしい…って。

仕方がないだろう。

どんな高価なものを持っていたとしたも、お前の娘に破られたり捨てられたりするのだから。



「…わかりました。お気遣いありがとうございます。」



今度こそ私は部屋を出た。



「ふぅ…疲れた。」



私は独り言や文句を言ったりするとき、日本語を用いるようにしている。

いつ、どこで聞かれているか分からないからだ。

この世界は隙を見せればすぐに潰しにかかってくるようなところなのだ。
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