皇太子は神の子に首ったけ〜異世界に転移してしまいました!?〜
自室に戻ろうと歩いていると、何かが光った。
「またか…あいつも飽きないわねぇ。」
細い透明な糸がピンと、廊下の端から端に張ってあった。
…ちなみに、ドレスの裾がお見えですよ、ってね。
その場にジュリアンがいることは明確。
これをやられるのはこれで3回目。
一度たりとも引っかかったことなどないのに、懲りないとは…。
頭が弱いのかもしれない…。
ちなみに、1回目はまたいだ。
2回目は少し学習したのか、高さが上がっていたから走り高跳びの要領で飛び越えた。
ただ、いくらなんでも令嬢が飛び跳ねてはいけないとモルガネからきつくお叱りを受けた。
二度あることは三度ある。
ということなので、今日はミニナイフを持ってきた。
というか、最近はいつも右の太ももにベルト付きの小物入れをつけていて、そこに護身用のグッズが入れてある。
今回みたいに糸が張ってあるだけならまだしも、どんどん過激になったりしているのだ。
以前、一人で別棟にある図書館から自室に帰るために歩いていると、侵入してきた男に襲われかけた。
ここでもパパに習った護身術を使うことになるとは…。
教えてもらったことをフルに活かし、逆に捕えて人を呼んだ。