皇太子は神の子に首ったけ〜異世界に転移してしまいました!?〜
たしかに、脚を露わにするのは令嬢としてよろしくない。
自室に戻って、ソファの上でいい案がないかと考えてみるが、何も思い浮かばない。
「うーん、どうしようかしら…。」
「お嬢様、何かお悩みごとでも?」
「あぁ、イレーヌ。そうなのよ、今日も糸が仕掛けてあったんだけれど──」
「またですか!?どうしたあの方はあぁなのでしょう…っ!」
イレーヌとモルガネは私がされてきたことを事細かに知っている。
他の使用人達も知らないわけではないが、誰一人として注意するものなどいなかった。
それはそのはず。
ジュリアンに嫌われてしまえば、職を失うことになりかねないのだから。
二人にも決して何も言うな、と言い聞かせてある。
彼女たちが辞めさせられてしまって困るのは私なのだ、と。
「まぁまぁ。いいのよ、あれくらい。それよりも護身用のナイフのいい忍ばせ方、何か思いつかない?」
「あれではだめなんですか?」
「ほら、ドレスの裾を持ち上げないと取り出せないじゃない?はしたないし、いざというときに持ちげてたら気づかれちゃう可能性も高いでしょう?」
「なるほど…。あ、それなら──」