皇太子は神の子に首ったけ〜異世界に転移してしまいました!?〜
そう言ってから、私はドレスを物色し始めたのはいいのだが…。
「量、多すぎじゃない?」
とてつもない数のドレスに圧倒された。
ずっと仕立て屋の人たちに見られているので選びづらく、早く終わらせようと足早にどんどん見ていく。
すると、一つのドレスに目がとまった。
「これ…。」
「あら、お嬢様の好きな色!」
私が手に取ったのはヴァイオレットのレース生地のドレス。
黒のリボンで背中から腰まで編まれていて、太いベルトのような物でくびれを細く絞ってある。
その他の装飾はほぼなく、とても落ち着いたシンプルなものだった。
大抵のドレスは裾がふっくらとしているのだが、このドレスはあまり広がっていなくて大人っぽい仕上がりになっている。
手にとって見ると、思った以上に裾が軽く、歩けば広がるような、品のあるドレスだった。
「黒い髪にも映えそうですね。」
「やっぱりそう思う?」
「はい、とっても!」
モルガネとイレーヌの二人にも後押しされ、それに決めることにした。
「ニコルさん、このドレスにします!」
「わかりました。先に採寸いたしますか?」
「そうね、着てみてから靴とか選びたいし…。そうしてもらえます?」
「はい、わかりました。すぐに採寸の準備を!」