皇太子は神の子に首ったけ〜異世界に転移してしまいました!?〜
それだけ言うと、お義父様は部屋を出ようとした。
だが、そこで振り返り、再度私に注意の言葉を放った。
「特に、その耳は隠しておくように。」
「…はい。」
今度こそ部屋を出たので、ため息を思わず着いてしまった。
さっきまで上がっていたテンションは地まで落ちてしまい、また緊張が襲ってきた。
「お嬢様、お時間そろそろですけど…。」
一度深呼吸をする。
「…大丈夫、そんな顔しないで?お見送りしてくれる?」
「…はい、もちろんです。」
彼女たちを会場に連れて行くことはできない。
なんだかんだ、それが一番不安だったりする。
この世界に来て、彼女たちのそばを離れたことなんてほぼほぼないのだから…。
「いってきます!」
「行ってらっしゃいませ、ナナお嬢様。」
「行ってらっしゃいませ。」
モルガネとイレーヌとは玄関で別れ、門の前に用意された馬車に乗り込もうとする。
「ナナお嬢様、お手を。」
突然護衛の方に横から手を差し出されてぎょっとしたが、素直にその手をとった。
「あ、ありがとう…。」
すると護衛の方はうっすらと笑みを浮かべた。