君の秘密


「ちょっと大翔、姉ちゃんたちに向かって『香織』と『来未』はないでしょ。それから、あんた足早すぎ。姉ちゃんたちを置き去りにしないでよ」


 えっ⁉

 今、ここにいる二人の女の人は市野瀬くんのお姉さんたち⁉


「ごめんね、弟の大翔が何か無理なことを言ったんでしょ」


 お姉さんたちは、私に気を遣ってそう言ってくれた。


「いえ……そんなことは……」


 私は市野瀬くんのお姉さんたちにそう言った。


「本当? それならいいんだけど……」


 市野瀬くんのお姉さんたちは少しだけほっとした様子だった。


「あっ、そうだ、挨拶まだだったね。私は大翔の2番目の姉の香織、よろしくね」


 市野瀬くんの2番目のお姉さんの香織さんは笑顔で挨拶をしてくれた。


「私は大翔の3番目の姉の来未、よろしくね」


 続けて市野瀬くんの3番目のお姉さんの来未さんも笑顔で挨拶をしてくれた。


 市野瀬くんとは正反対で、お姉さんの香織さんと来未さんは、とても感じよく笑顔で接してくれた。


 ……といってしまうと、市野瀬くんが感じ悪いみたいになってしまう。

 そんなつもりではないのだけど……。

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