君の秘密


「ちょっとなによ、大翔、私たちが言おうとしてるのに大声で叫んで邪魔しないでくれる?」


「うるせぇ‼ お前らが余計なことを言わなければオレだって無駄に叫んだりしねぇ‼」


「ちょっと大翔、あんた姉ちゃんたちに向かって『お前ら』はないでしょ」


「あぁぁー‼ もう‼ うるせぇ‼ うるせぇ‼」


 市野瀬くんが学校にいるとき以上に荒れている。


 これは、よっぽど香織さんと来未さんに言われたくないことでもあるのだと思った。


「別にいいじゃないね、杏樹ちゃん。本当のことを話したって、そんなにも嫌がることでもないわよね」


「……はい……」


 と、返事はしたものの、香織さんと来未さんが一体何の話をしようとしているのかわからない。
 だから香織さんと来未さんが続きを話すことによって市野瀬くんがどれだけ嫌な思いをするかどうかなんてわからない。
 それなのに香織さんと来未さんの言ったことに対して「はい」と返事をするのはちょっと無責任だったかな……?
 でも、なんとなく「はい」と返事をしてしまった。

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