君の秘密
「あらまぁ~」
突然、小声で言った友達の光石彩乃。
その理由は。
「杏樹、市野瀬くんと隣の席になっちゃったんだ、ちょっと気の毒」
今日は高校二年生になってから初めての席替え。
席替えの方法はクジ引きだったのだけど、見事に私の隣の席は市野瀬大翔くんになった。
とは言っても、私は彩乃が言うほど、さほど市野瀬くんの隣の席は嫌ではない。
市野瀬くんは容姿だけでいうとイケメンで、黙っていれば女子たちにモテる要素はある。
だけど、市野瀬くんはモテるどころか、クラスの女子たちから避けられている。……というか、恐れられている。
その理由は、市野瀬くんは口が悪いというのか、口調が乱暴なところがある。
ついこの間も、クラスのある女子が市野瀬くんと目が合っただけなのに、市野瀬くんはその女子に「なんだよ」と睨みつけていた。
市野瀬くんにそう言われ睨まれた女子は、すっかり市野瀬くんのことを怖がってしまった。