君の秘密



 * * *


 3時間目の授業が始まる前の休憩時間。



 私は授業の準備をしていた。


 そのとき視野に何かを感じた。


 気になった私はチラッと隣を見た。


 市野瀬くん?


 市野瀬くんが何かを探していた。


 どうしたのだろう。


 そう思った私は市野瀬くんに訊いてみることにした。


「市野瀬くん、どうしたの?」


 市野瀬くんに訊いてみたけど、市野瀬くんは私の方を全く見向きもしないで何かを探し続けていた。


 そうしているうちに3時間目の授業が始まるチャイムが鳴った。


 チャイムが鳴った後も、何かを探し続けている市野瀬くん。


 私は、そんな市野瀬くんのことが気になって仕方がなかった。


 もう一度、市野瀬くんに声をかけてみようかと思ったとき、先生が教室に入ってきた。


「起立」の号令がかかって先生に挨拶をして着席したとき、市野瀬くんはとうとう何かを探すことを諦めた。


 ……って……あれ?


 そういえば市野瀬くん、教科書……。


 市野瀬くんの机の上に教科書が見当たらない。


 市野瀬くんがさっきから探していたものは教科書だったのだと、私は今やっと気付いた。

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