君の秘密


 な……何が『はぁ⁉』よ‼ 人の気持ちも知らないで‼


「何言ってるんだ? お前」


「……⁉」


「なんでオレがお前のことを嫌うんだよ」


「⁉⁉⁉」


 わ……わからない。

 え⁉ だって市野瀬くん、私と友達でいることが嫌だって。

 嫌なものは嫌だって。

 それなのに私のことを嫌いじゃないって……。


「……お前……」


 市野瀬くん……?


「なんもわかってないんだな」


 市野瀬くんは少し困った様子で髪をくしゃくしゃしていた。


 え……?

 なにもわかってない……?

 それって一体……?


「まず本題に入る前に、オレが中学だった頃の話をしてもいいか。本当はこんな話はしたくはない。だけど、あの頃の話をしなければオレは前に進むことができない気がする。だから……」


 そう言って市野瀬くんは中学生の頃の話を始めた。


 中学生までの市野瀬くんは、今のように悪態をついたり強がった感じではなかった。

 家でも香織さんや来未さんにも、やさしく接していた。

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