今夜、あなたに復讐します

 


 週末は有生の家で過ごすよう命じられたと聞いて、夏菜は思いきり、嫌な顔をしてしまった。

 ええーっ。

 今、みんながいるから、なんとかやってるけど。

 まるきりの二人きりとか緊張してしまうではないですかーっ。

「な、なんで、週末は二人だけなんですか?」

「結婚前に二人で暮らしてみた方が、お互いのアラが見えていいだろうとお前のおじいさんに言われたからだ」

「そ、それは、アラを見つけて、結婚するなと言うことですかね?」

「いや、そうじゃないだろ」
と言った有生は、

「お互いの嫌な面を見つけても。
 歩み寄って生活していけるよう、結婚前によく準備をしておけということじゃないのか」

 そう力説し始めた。

 気のせいだろうか。

 社長は、この結婚に乗り気になっている気がする。

 一体、なにがあったんだ……と思いながら、夏菜は訊いてみた。
< 168 / 432 >

この作品をシェア

pagetop