今夜、あなたに復讐します
「しかし、すでに俺はお前の道場で暮らしている。

 さっきも言ったろう。
 お互いのアラを見つけても、そこにこだわっていては結婚生活は続かない。

 お互いが歩み寄らなければ。

 俺の方は、すでにお前に歩み寄っているじゃないか。
 お前もなにか歩み寄れ。」

 あの、その言い方だと、道場が、私のアラになってしまうのですが……、
と思いながらも、

 でも確かに。
 一方だけが不利益をこうむるのはよくないな。

 けど、社長の家で暮らすのは遠慮したいな~と考えあぐねた夏菜は、

「え、えーと。
 じゃあ……、中間地点で」
と言ってしまう。

 友だちと待ち合わせるのに、

 何処にしようかー。
 じゃあ、まあ、中間地点で、とか言っていたときの癖で、つい、そう言ってしまったのだ。

「……いいだろう。
 わかった」
と有生は頷いた。
< 170 / 432 >

この作品をシェア

pagetop