今夜、あなたに復讐します
「ほほう。
お前がこの間罠にかかっていたとかいう御坂の秘書か」
「はっ。
その節はお世話になりました」
指月は奥の座敷で、頼久と加藤を前に両手をついて頭を下げる。
なんだろう。
無性にへりくだりたくなったり、お仕えしたくなったりする人だ、と指月は貫禄ある頼久を見上げた。
あんなとぼけた娘が嫁で、社長、大丈夫だろうかと心配していたのだが。
この人の親族になるのだと思えば、悪くない感じがする。
社長になにかあっても、娘婿ということで守ってくれそうな気がするな。
……敵に回すと恐ろしそうだが。
そのとき、頼久が、
「お前のようなものが仕えているのだから、御坂はやはり、立派な男なのだろうな」
と言ってくれて、指月は感激する。
いかん。
社長を放り投げて、こちらにお仕えしたくなってしまった……と思っていると、頼久が指月に頭を下げてきた。