今夜、あなたに復讐します




「お前、なにしに来た」
と夕食の席で、有生が指月を睨んだ。

「いえ、此処に来る理由がなくなる前に、もう一度、このサバイバルロードを乗り越えてみたかったんです」
と指月が言う。

 ……サバイバルロードって、うちに来るまでの罠だらけの山道のことですかね?
と夏菜は苦笑いしていた。

 いつものように広間に並んでの夕食。

 今日は、夏菜、有生、指月で一列に並んで食べていた。

 うちって、常に合宿みたいだよなー。

 ずっと、こんなわいわいした中にいたから、社長とふたりきりとか静かすぎてどうしていいかわからなくなりそうだ、と早速、不安になる。

 ……もしや、社長がひとりで休日出勤とかしたときには、私は家にひとり切り?

 しんとした家だかマンションだかわからないところのリビングで、ひとり、ぽつねんとしている自分を思い浮かべ、行く前からホームシックになりそうになる。
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