今夜、あなたに復讐します
 そんなしんみりしている夏菜の横で、有生と指月が揉めていた。

「そんなのこれからだって来られるだろ?」

「いいえ、わかりません。
 そのまま社長たち、ラブラブになって、こっちには戻ってこないかもしれないじゃないですか。

 社長がいないと、私が此処に来る理由がなくなってしまうじゃないですか」
と指月が言うと、途端に有生の態度が軟化した。

 口調が柔らかくなる。

「……そうか。
 いやまあ、そんなこともないと思うがな。

 うん。
 ないと思うがな」

 そこで、指月が有生に訊いた。

「ところで、住む家は決まったんですか?」

「ああ、あの辺りには、うち名義のマンションがあるから。
 少し離れているが、一軒家もあるんで、そっちでもいいかなと思ったんだが。

 二人だけだし、週末しか行かないから、マンションの方がいいかなと思って」

 ……マンションか。

 初めてだな、マンション。

 すごい超高層階とかだったらどうしよう、と夏菜はいろいろ考える。
< 180 / 432 >

この作品をシェア

pagetop