今夜、あなたに復讐します




 車の中で有生が訊いてきた。

「どっちがいい?」

「は?」

「いや、よく調べたら、あの辺りにふたつ、今、空いてるマンションを持ってたんで、お前に選ばせようかと思って」

 よく調べないとわからないの、どうかと思いますね……と思っていると、ほら、と有生がスマホを見せてきた。

 ひとつは木の匂いがするような部屋だった。

 無垢材のフローリングが印象的で、家具もあまり置いてないが、ともかく広く、部屋の構造が少し変わっている。

 もうひとつは白と黒で統一された部屋で。

 素敵なホテルのロビーかと思いきや、家のリビング、みたいな。

 えっ? 此処にふたりで住んでもいいんですか。

 なんだかもったいない、という感じだった。

「ふ、普段、道場に住んでいるので、ちょっと……」

 ちょっとギャップがあって、すぐには選べない、と夏菜は言った。
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