今夜、あなたに復讐します
 しんとした時間が流れる。

 防音がしっかりしているらしく、下の道からの音もマンション内の音も聞こえてこない。

 ……なにか寺で修行している気持ちになってきた。

 正座したまま、夏菜は思う。

 おのれが無にはなれないが、周りの空間が無になっている。

 どうしたら……と惑いながら顔を上げたとき、有生と目が合った。

 二人は同時に言っていた。

「100均に……」
「100均に行きましょうっ」

 そうだっ。
 京都へ行こうっ、くらいの勢いで言っていた。

 いっそ、京都まで行った方が時間が潰れてよかったかもしれないが。





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