今夜、あなたに復讐します
黒木が有生の車を持ってきてくれたので、二人で100均に向かう。
駐車場で車を降りながら、夏菜は呟いた。
「……100均の駐車場に止まってるベンツとか見ると、何故、この車に乗ってて、100均とか思ってしまうんですけどね」
「100均にしかない、なにかがあるんじゃないのか?」
と有生は言うが。
100均にしかないなにかってなんだろうな?
と100均好きの夏菜でも思ってしまう。
アイディアグッズ?
お値段を気にせずにポイポイ、カゴに放り込める気楽さ?
などと思っている夏菜の前を今風の若者が振り返って、有生の車を眺めていた。
この人はきっと、今、私と同じことを思っていますねっ。
何故、この車で100均に乗り付けるっ、と!
通りすがりの男に勝手にシンパシーを感じて立ち止まり、有生に急かされた。
「ほら、行くぞ」
はいっ、と夏菜たちは、かなり大きなその100均の店舗に入っていった。