今夜、あなたに復讐します



「勝負の必要、何処にあるのかなってくらいのラブラブぶりですね~」

 茂みの陰から雪丸と銀次が二人を覗いていた。

 だが、
「いやっ」
と銀次は拳を作る。

「誰が勝者になってもお嬢は若を選ぶかもしれないがっ。
 それでも私はお嬢を好きだった気持ちを昇華させるためにも。
 勝負に勝って、爪痕を残すっ」

「さすがですっ、銀次さんっ」
と雪丸が夏菜たちに聞こえないよう、小さく手を叩いた。

「でも、僕も頑張りますよっ。
 棚ぼたで、夏菜さんと結婚。

 楽しい結婚生活が待ってそうですよね」

「……実はお前が一番、譲りそうにないな」
と銀次は呟く。

 そんなことはまずないが、まかり間違って自分が勝っても、夏菜との結婚は有生に譲るつもりだった。

 夏菜に無理強いはしたくないからだ。
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