今夜、あなたに復讐します
 だが、雪丸は、
「やったーっ」
と無邪気に喜び、

「夏菜さんっ。
 二人で幸せになりましょうねっ」
とか夏菜の手を取り、言い出しそうだ。

 そして、人のいい夏菜は喜ぶ雪丸に水を差せないに違いない。

 ある意味、最強の男……と思ったとき、夏菜たちが立ち上がり、二人仲良く奥に引っ込んだ。

 でもきっと、有生は同じ部屋で眠っても、勝負が終わるまでは夏菜には手を出さないだろうと思えた。

「あー、いい男だなー。
 男から見ても」
と思わず呟くと、雪丸が言ってくる。

「なに言ってるんですか。
 銀次さんもいい男ですよ」

 そうか? とお世辞とわかっていてもちょっと嬉しく思ったが。

「最初見たときから思ってたんですよ。
 銀次さんって、俳優さんみたいだなって」

「えっ?」

「今にもVシネマとかに出てきそうですよっ」
と雪丸は笑っているが。

 それは褒めているのだろうかな……。

 あまり一般受けしそうにないが、と銀次は思う。
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