今夜、あなたに復讐します
「女だからな。
 いろいろ使い道もあるだろうと思って。

 女で俺に歯向かってきた奴は初めてだしな」

 私に女としての使い道はあまりなさそうだが、と思ったが、おそらく、そうして、パーティに帯同させたりとかそういうことを言っているのだろう。

「なんだ。
 しょぼくれた顔をして」

「いえ、貴方に復讐に来たはずなのに、いいように使われてるなーと思って」

 なにか逆らえない迫力がこの人にはあるから、と思う。

「その件に関しては俺も言いたい」
と有生は立ち上がり、こちらに来た。

「俺の先祖がお前たち一族になにを言ったが知らないが、そんなもの俺のあずかり知るところではない。

 それから、お前がその先輩とやらを投げ飛ばした件だが、やはり、お前がそいつを好きじゃなかっただけだろう」

「いや、そりゃ好きとかじゃなかったですけど。
 部活の先輩だったんで……」
と言おうとしたとき、有生は夏菜の腕をつかんで引き寄せ、キスしてきた。

「な……

 なにするんですかーっ」
とその腕をつかみ、投げ飛ばそうとしたが、腕をつかみ返され、後ろに回され、あっという間に、もう片方の腕も後ろでつかまれていた。

 まるで刑事に確保されたみたいなその体勢のまま、有生が耳許で淡々と言ってくる。

「ほら、俺だと迫っても投げ飛ばさないじゃないか」
< 39 / 432 >

この作品をシェア

pagetop