今夜、あなたに復讐します
 このベッド、社長の匂いがするな、と思う。

 この匂いを吸い込んだだけで、心の奥深くまで捕まってしまって逃げられない気が……と思ったとき、有生は夏菜の上に乗ってきたが。

 突然、
「いや、駄目だ」
と言い、身を起こした。

 え? 何故ですか?
とまた言ってしまいそうになる。

 起き上がった有生はベッドサイドにあったペットボトルを遠くに押しやると、
「よしっ」
と言う。

「これで万全。
 もう俺を祟り殺せないぞ」

「いや、祟ってるの、貴方の方ですってばっ」
と赤くなって言う夏菜を有生はベッドに押しつけ、そっと口づけてくる。

 その口づけを受けながら、夏菜は思っていた。

 いや、やっぱりこれ、祟りですよ……と。
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