今夜、あなたに復讐します
 貴方が笑いかけてくるだけで、

 その手で触れてくるだけで、

 キスしてくるだけで、

 死にそうに心臓が締め付けられる。

「祟りですよ」

 夏菜は大真面目に有生に言った。

「貴方に心臓、殺されそうです」

 なにがおかしいのか、その顔を見た有生が笑い出す。

「そうだな」
と囁いたあと、有生は夏菜に口づけながら言ってきた。

「そうだな。
 俺も今、死にそうだ……」

 夏菜は技を繰り出すことなく――

  ちょっと笑って目を閉じた。
 

 

                       完

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