今夜、あなたに復讐します
 強烈なアルコールで寒さをしのぐ人みたいになってるが、と思っていると、
「今年の年越しは俺と二人だったが、いつもはどんな感じなんだ?」
と訊かれた。

「あー、いつもはですねー。
 みんなと山の頂上付近にあるお(やしろ)にお参りするんですよ。

 山の一番下から罠を避けつつ、駆け上がっては下りるんです」

「何故、下りる……」

「除夜の鐘が鳴り終わるまでに100回駆け上がってお祈りできたら、なんでも願いが叶うという、

 かつてお弟子さんだった人が作った都市伝説があるので。

 若い人たちをトレーニングさせるのに作ったらしいです」

「……作った人と動機がはっきりしてる時点で、なにも都市伝説じゃないし、ほんとじゃないだろ」
と言ったあとで、有生は、

「でもまあ、それくらいのことしたら、なにか叶えられる気はするな」
と言ってきた。

「じゃあ、俺もやればよかったな」

「え?」
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