今夜、あなたに復讐します
 有生はオリオン座を見ながら、
「星だって永遠じゃないこの世界でも、お前とこうしていられる時間が永遠だといいなと柄にもなく願ってしまうから」
と言ってきた。

 いやいや、なにをおっしゃってるんですか、と夏菜はグラスを手に照れて俯く。

「着物の下着は下着っぽくないけど、やっぱり他の男に見せるのはやだな、と今日、思ったよ」

 夏菜の手にあるそのグラスを取り、有生は近くのテーブルに置いた。

「自由気ままに生きてきたから、結婚とかよくわからないなと思ってた。

 でも、神社でふたりで並んで、新しい年を待っていたとき、なんとなく、

 結婚生活ってまだピンと来てないけど、お前と暮らすというのはしっくりくるなと思った。

 ……あけましておめでとう」
とまた有生が言う。
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