今夜、あなたに復讐します
「……なのに、どうして、あのまま、ぼんやり帰って来ちゃったんだろうって」

「恋ですね」
と指月が反論を許さぬ口調で言ってくる。

「違いま……」
と振り向きかけたとき、バアン! と派手にドアが開いた。

御坂(みさか)ーっ!」

 ナイフを手にした若い男が飛び込んでくる。

「うちの警備はどうなってんだ」
と有生が溜息をいた。

 指月はまたも動かない。

 夏菜は有生めがけて突っ込もうとした男の足を軽く払い、その男が前のめりに倒れると、すかさず、その上に飛び乗った。

「順番は守ってください!」
と夏菜は男の上に座って叫ぶ。

「私がこの人殺すんです!」
と言いながら、ナイフを男の手から手刀で弾き飛ばすと、後ろで指月が言っていた。

「あ~、楽でいいですねー。
 これで本来の業務に戻れます」

 ……秘書が本業だったのか。
< 47 / 432 >

この作品をシェア

pagetop