今夜、あなたに復讐します
 顔の濃いイタリアマフィアみたいな男がいきなり背後にいて、うわっと雪丸が声を上げる。

 そのイタリアマフィアに渋いいい声で、
「それ食べたら帰ってくださいよ」
と言われ、雪丸は彼の前で土下座して言った。

「師匠っ、弟子入りさせてくださいっ」

「いや、私もまだ新米なんです」
とマフィアは言う。

「弟子入りさせてくださいっ」

「新米なんですっ」
と二人は言い合っていた。

 そのとき、奥の襖が開いて、祖父、頼久(よりひさ)が現れた。

 話を聞いていたらしい。

「まあよい。
 銀次、しばらく彼の面倒を見てやりなさい」

 へい、とイタリアマフィア顔の銀次は言った。
< 73 / 432 >

この作品をシェア

pagetop