今夜、あなたに復讐します
「おはようございますー」
翌朝、夏菜が社長室に行くと、有生が、
「言われた通り早くに来たのか。
感心だな」
と言ってきた。
褒めてくれているようなのだが、口調は妙に感情を押し殺したように淡々としていた。
「あ、そうだ、社長。
雪丸さんは無事、うちにたどり着いて、住み込みで働いてますよ」
と教える。
「……誰だ、雪丸って」
「シスコンさんです」
ああ、と言った有生に雇ってもらえるよう売り込んであげようと、夏菜はその働きぶりを伝えた。
「雪丸さん、昨夜は薪でお風呂沸かしたり、湯加減まで訊いてきたり。
朝は朝で、早く起きて道場の掃除とかして。
せっせと働いてますよ」
微笑ましく思いながら、そう言ったのだが、何故か、有生は、
「……やはり、殺しておくべきだったな」
とぼそりと言ってくる。
ひっ、と夏菜は、銀次以上のその迫力に固まる。