今夜、あなたに復讐します
 しばらくして、夏菜が黒塗りのお盆を手にやってきた。

 和菓子の下に敷かれている懐紙が鶴の形に折ってある。

「これ、誰がやったんだ?」

「あ、すみません。
 私です」
と言う夏菜に、

「……意外に女子みたいなことするんだな」
と言うと、

「意外にも女子なんで……」
と返された。

 いや、夏菜が女子っぽくないというわけではないのだが。

 というか、見た目だけなら、かなり女子力が高い感じで可愛らしいのだが……。

 なにかこう、性格がザックリしてそうだからな、と思いながら、お茶を飲んだ。

 淹れ方も上手い。

 しかし、こいつで鶴と言うと、自宅に向かう途中にあるという罠を思い出してしまうんだが……と思ったとき、夏菜が戻ろうとしたので、有生は、

「待て」
と言った。

 はい? と夏菜が振り返る。
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