今夜、あなたに復讐します
「一応、女子なんで、別に土産を買ってきてやった」

 夏菜が口を開きかける前に、
「いや、ついでにちょこっとだから気にするな」
と強く言う。

「あ、ありがとうございますっ」
とおっかなびっくりな感じで、夏菜はその白い小さな袋を受け取っていた。

「あ、いい匂いがする」
と言って微笑む。

「……開けてみろ」

 ありがとうございますっ、と夏菜はその袋を開けて、可愛らしい文様の入った巾着袋を取り出していた。

「お香ですね」

 ……喜んでいるようだ。

 社交辞令じゃないよな?

 こいつ、嫌なときは、本気で微妙な顔するもんな。

 本人は隠しているつもりのようだが、厄介な細かい仕事を命じられたときなんか、口では、
「わかりましたー」
と言いながら、目が死んでいる。
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