Dark Fantasy Night
暗闇に包まれていたダナの意識は、多くの人の騒めく声ではっきりとしたものになった。その目を恐る恐る開けると、夜の森の中にダナは倒れている。
「ここは……?」
自分がよく知るイギリスの森ではない。しかし、木々や風の感触は夢ではないとダナに伝えていた。
「魔法で私たちは過去にいるみたい。それも紀元前」
モルガーナがそう言い、ディアナが「紀元前ってどれくらい昔なの?」と首を傾げる。ダナは「少なくとも二千年以上前よ」と驚きながら言った。
「二千年以上前!?訳わかんないや」
驚くディアナを見つめながら、ダナはなぜ紀元前に魔法で連れて来られたのか考えていた。紀元前に何か知りたいことがあるとは思えない。
「とりあえず、こんな森の中にいたら危険だわ。あっちの方から人の声が聞こえてくるし、あっちに向かいましょう」
モルガーナが魔法で灯りを出し、西の方を指差す。ダナが耳を澄ませると、確かに人の声などが聞こえてきていた。